【”自他境界が薄い”とは?】自分の存在が透明になる感覚を言語化してみる

「自他境界が薄い」という概念に出会ったのは10年くらい前のこと。当時は自己否定感が極まっていて、自分自身の存在をどうにかこうにか許したくて、自己啓発や心理学系の本を読んだり、ネットの海を彷徨ったりしていた。

自分にまつわる問題の原因を特定し、解きほぐしていく過程は、はっきりいって面白い。伏線が張り巡らされたミステリー小説の解決編に目を通すのと同じ類の快楽。日常生活を楽に送るために始めたことだけれど、今ではすっかりこの快楽がクセになっているし、エンタメとして消費している嫌いがある。

何が言いたいかというと……これからするのはちょっと小難しくて、デリケートな話題なのだけど、真面目な顔して読む必要は全然ないってこと! 人間の仕組みの不思議を面白がってくだされば、満足です。

それでは満を持して、本日取り上げたいのは「自他境界」について。これについて最近面白い発見をしたのですよー。

手始めに「自他境界」ってなんぞ? って話なんですけど、まぁ、言ってしまえば自分と他者を分ける境界のことなんですけど……実は私もうまく説明できなかったりします、はい。肉体の境界は分かりやすいんですけどね。肌というか、肉というか。他者の体に触れることはできても、自分の肌や粘膜と、他者のそれが混ざることはない。こっからここが自分、こっからはあなた、というのが明確にわかる。

で、それに比べて理解がちょっと難しいのが、心や意思といった、目に見えない境界線。「いや、自分と他人の意識が分かれてるのは普通のことだろ?」って思われる方もいるかもですが──実はけっこう曖昧だったりするのです。

自他の境界線が消えていくと、相手の感情が自分の感情になり、相手の悩みが自分の悩みになっていきます。自他の境界が曖昧な人は、自分の気配を消すことが得意なために、相手といると自分の意見が無くなり、同一化していきます。

トラウマケア専門こころのえ相談室サイト https://www.kokoro-ashiya.com/clinical-psychology/boundary/

上のような感覚って、私的にはわかるー!! って感じなのですが、自他境界がしっかりしてる人も理解できるものなのかなぁ? ……という訳で、自分なりに図解してみました! (専門知識があるわけじゃないので間違ってるかもですが、悪しからず!)

〈自他境界についての図〉自他境界がしっかり存在している状態(上)、自他境界が薄い時に自分がなくなり、相手の意見を自分のもののように感じる状態(下)

うーん、難しいですね……。自分は自他境界をすごく感覚的に捉えているんだなーと、改めて感じました。

「自他境界が薄い」がどんな状態なのかさっくり説明すると、「自分の考え・意見・感情がなくなる」と言ってよいと思います。例えば、他人と意見がぶつかった時、「自分は違う意見だけれど、今回は我慢しよう」、「相手の感覚は正直理解できないけれど、この場は同じ意見ってことにして場を治めよう」というような諦め・偽りといった思考過程なしに、相手の意見に『心から』同意できます。自分とは相入れない、全く真反対の意見や感情であってもです。

……自分で書いてても、なんかよく分からないなーって感じです。これはほんとについ最近気づいたことなんですけど、なんというか、相手が自分と違う考えであればあるほど、プツッと、自分の五感との繋がりが断たれる感じで、一時的に自分のことが分からなくなる……。

「違う意見だったとしても、ちゃんと伝えて話合うぞー」と前々から心構えをつくっていたとしても、いざその時になると、伝えるべき意見・感情のありかが分からなくなるので、意見を出そうにも出せない、という摩訶不思議な状況に陥ります。あれ? さっきまでそこにあった私の気持ちは?? 

身体は確かに存在しているのに、その中身がすっかり空洞になる感覚、自分が透明になってしまう、という言葉がとてもしっくりきます。

今までは「自他境界が薄い」という表現から、他人との間に存在する膜が限りなく薄くなった結果、自分と相手の皮膚が癒着するようなイメージだったんですが、実際には「逆憑依」とでもいうような、相手の守護霊に自分がなるような、そんなような感じです(あくまで私の場合は、ですが)。

しかしながら、「自分が消えている」と分かるのは、随分後になってから。

リアルタイムの感覚としては、喉に空気の塊が詰まっているような息苦しさ、言葉をうまく編むことのできないもどかしさが大きく、自分の身体が言うことをきかない焦燥感で、なぜこんなことになっているのか分からない、といった感じでパニックまではいかないまでも、頭の中が???でいっぱいになっています。

この状態を抜け出すには、その焦燥感やパニックを手がかりに「あ、いま、自分ないなっとる!」と気づいていくことなのかなぁ? あとは、対面で意見を求められた時は目を瞑るなど、相手を視界に入れないようにして自分の内側に集中する、とかが効果的なような気がしています。

自他境界を強固にするまでの道のりはまだまだ遠そうですが、今まで自覚できていなかった「逆憑依状態」をこうして文字に起こせているだけでもものすごい進歩だし、何よりわたくし、今とても楽しいです。これからもちょっとずつ自分の内側に隠された謎を解き明かしていくぞー。おー。


*引用元:トラウマ専門こころのえ相談室 https://www.kokoro-ashiya.com

今回引用させていただいた部分はほんの一部で、『自他の境界が曖昧な人』のページでは、自他境界が曖昧になるとはどういうことなのか、どういう原因があるのかなど、丁寧に解説されています。トラウマや解離などについてのページもあり、専門的な内容を分かりやすく解きほぐした説明は読みやすいので、気になる方は覗いてみてください。

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